2024年8月3日
第106回全国高等学校野球選手権愛知大会の実況を愛知県のケーブルテレビ2局で今年、計8試合務めた。
夏の高校野球の地方大会は全試合が中継で配信されており、パソコンやスマホで生観戦できるようになった。環境さえ整えば、OBたちが母校の後輩の奮闘を、おじいちゃん、おばあちゃんが頑張る孫の姿を炎天下、遠出しなくても応援できる。便利になった。
去年、まだ中京テレビに籍を置いていた時にこの仕事を初体験。「全試合配信」時代になり、実況するフリーランスのアナウンサーの確保ができなかったケーブルテレビ局で5試合担当した。
今年からフリーに転身した私は、ありがたいことに名古屋の「スターキャット」と豊橋の「ティーズ」の2局から実況の依頼をいただいた。
私が初めて高校野球の地方大会を見に行ったのが51年前の1973(昭和48)年。当時、東大阪市に住んでいた小学5年生の私は、その年から野球観戦に目覚め、小学館の「野球入門」という本に載っていた「スコアのつけ方」を参考に、日生球場の三塁側内野席で大阪大会の試合を見ながらスコアつけの練習をしていた。
高校時代は母校の夏の大会は全試合応援に行った。私は軟式テニス部だったが、野球部員と仲が良かった。卒業後も夏は行ける限りスタンドに足を運んでいる。
そんな私がNHKやテレビ朝日系列の局に入ったわけではないのに、高校野球をしゃべる機会が巡ってきたのだ。スポーツソフトの配信全盛という時代ならではだ。
実況していて思うことがある。地方大会では決勝以外は5回・6回で10点差以上、7回・8回で7点差以上つくとコールドゲームとなる。今年担当した8試合中、コールドゲームが4試合あった。
敗れ去るチームがたとえコールドの大敗であっても、「1点は入ってほしい」と思いながらしゃべっていた。これがなかなか難しく、私の実況したコールドゲームは負けチームがすべて無得点での敗退だった…。
試合後、球場の外で負けたチームが行う最後のミーティング。選手が監督、部長、主将の言葉に涙を流しながら耳を傾け、応援に駆け付けたクラスメートや保護者が少し遠巻きにその様子を神妙に見つめる。切ないがいい光景だ。
時代と共に高校野球も変わる。投手の球数制限、延長タイブレーク、継続試合に暑さ対策。
特に年々暑くなる「高校野球の季節」に対しては、5回終了後のクーリングタイム10分間、試合開始時間の繰り上げなど次々と実施され出したが、効果のほどを実感するのが難しいほど気候変動は容赦ない。
そしてついに高野連が高校野球の「7回制」が検討し始めた。その記事が新聞に載ったのは甲子園球場が誕生してちょうど100年が経った8月1日だった。
来年も高校野球に関われたらうれしい。