東京六大学野球、初観戦。 - 佐藤啓 公式WEBサイト

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東京六大学野球、初観戦。

2024年5月12日

 今年のゴールデンウィークは4月30日から8日間、川崎に滞在し連日東京で気ままに過ごした。資料探しで東京ドームにある野球殿堂博物館図書室に2日、新宿末廣亭、ヤクルト中日戦観戦、静嘉堂文庫美術館や東京都写真美術館、ボクシング・井上尚弥の世界戦に足を運び、中学高校時代の旧友や元同僚と会食するなど有意義な日々だった。

 5月5日(日)、自分でも意外な初めての体験をした。東京六大学野球の観戦だ。わが国の野球人気を確固たるものにし、来年100周年を迎える東京六大学野球を神宮球場で見たことがなかったのだ。

 同窓会LINEで繋がっている高校3年のクラスメートと今年に入ってから連絡を取るようになり、彼の趣味が「東京六大学野球観戦」だということを知った。彼はリーグ戦をほぼフル観戦。高校野球も好きで、飛行機で何度も甲子園球場に日帰り観戦する凝りようだ。高校ではサッカー部だったのに。

 会うのは40年ぶり。彼が立教大学に進学してからは一度同窓会で会っただけ。そんな旧友と簡単にやり取りを開始できるのがLINEのいいところかも。「いつもそこで見る」という神宮球場のバックネット裏の席で待ち合わせると、常連の必需品であるクッションや日焼け防止用のタオルまで私のために用意してくれていた。長い空白も感じさせず「久しぶり」といっただけですぐに観戦。その日は早稲田大学×東京大学、慶応義塾大学×立教大学の二試合。友人の解説に耳を傾けながら楽しんだ。

 グラウンドと応援席が一体となっている。4大学の応援席はほぼいっぱい。チャンスが訪れると盛り上がり、点が入ると大騒ぎ。応援歌の大合唱。その喧騒が心地よい。観衆は8000人(主催者発表)。スタンドのあちらこちらで各大学OBと思しき小集団が再会を喜びながら母校の奮闘に声援を送る。

 「いいなぁ」 「楽しいなぁ」 「羨ましいなぁ」

 還暦を過ぎて感想はそれだけ。

 こういった雰囲気が大好きな私。

 一浪して受かったのが南山大学教育学科と早稲田大学社会科学部。東京暮らしにあこがれたが親には「名古屋で」と言われた。

 南山大学での4年間は充実しており、アナウンサーになれたのもそのおかげ。友人も多く大好きな母校で弟も妹も後輩だ。

 でも、それは名古屋から出ない人生のきっかけになった。「地元で完結」という典型的な名古屋人。暮らしやすく適度に都会。不自由はないが、よかったのかなぁ?

 東京で大学生活していたらどんな人生だったのだろう。神宮球場で「覇者、覇者、ワセダ!」と聞くたびにそんなことを考えた。

 5月11日(土)は母校・南山大学硬式野球部の試合を応援しに愛知県東海市の大同大学元浜グラウンドに行った。愛知大学野球3部リーグの南山。8大学総当たりの春季リーグは名古屋大学、愛知教育大学、南山大学が6勝1敗で並び、得失点差により順位決定戦の初戦で南山は愛教大と戦うことになった。

 試合は3-4で惜敗。秋季の2部昇格の道は初戦で断たれた。

 野球部OBではない私だが、3年前に「無名の開幕投手 高橋ユニオンズエース・滝良彦の軌跡」という本を出版した。母校の野球部からこれまでただ一人、プロ野球選手になり活躍した先輩に興味を持ち調べて書いた。その際、野球部OBの数人に取材協力してもらった縁で、以来時間を見つけては応援に行っている。

 前回見たリーグ戦は観客が7人だった。今回は順位決定戦。50人ほど見ていた。ほとんどが選手の親だろう。スタンドのないグラウンドで持参した椅子に座っての応援だ。

 6日前に東京六大学野球を見たばかり。まったく別の世界。

 でも、応援に力が入ったのは母校の試合の方だった。