2024年12月31日
フットワーク軽く、見聞を広める。私のモットーです。局アナからフリーに転身した今年も、なるべくいろんな場所に足を運ぼうと出歩きました。まあ、自分の興味や趣味で動いた結果でしかないのですが。
内訳は、映画15本(劇場鑑賞のみ)、 演芸17回、 プロ野球29試合、 大学野球4試合、プロレス4興行、 ボクシング4興行、ソフトボール25試合、博物館・美術館11回、演劇1回、歌舞伎1回、ライブ1回、 トークショー2回、旅行3回。
○野球
プロ野球では初めてエスコンフィールド北海道に行きました。
球場開設2年目の今年、交流戦で中日が初めて同球場で日本ハムと対戦。天然芝の屋内球場でグラウンドとスタンドがとても近く感じられるメジャー施設に負けない魅力的なスタジアムでした。
選手に聞くと、球場内のトレーニングルームが立派で、個々のロッカーにUSBポートがあるなど至れり尽くせりだということでした。試合では郡司裕也、山本拓実、アリエル・マルティネスら元中日勢が大活躍していたのも印象的でした。
神宮球場で初めて東京六大学野球を観戦。高校の同級生が生観戦にハマっており、連絡を取り球場で約40年ぶりの再会。
私は高校時代、東京でのキャンパスライフに憧れながら夢は叶いませんでした。応援席の学生やネット裏のOBが声援を送る姿を「いいなあ」と見つめていました。
○演芸
ここ4年程、寄席通いが趣味になりました。「大須演芸場友の会」会員です。この仕事だからか、表現が規制だらけの昨今は「要配慮第一主義」の萎縮社会になって久しいと感じています。ところがノーテレビの寄席では落語家、漫才師、講談師、漫談家、コント師らが言いたい放題やりたい放題です。そこには、不平等や理不尽や暴言などの「今ならアウト」案件が生き生きと語られ、客席はそれを大いに笑うという異空間になっています。おそらく、私はその心地よさに惹きつけられているのでしょう。もちろん、興味のある話芸の巧みさが一番のお目当てです。
今年、高座で私を最も笑わせてくれたのは愛知県出身の三遊亭萬橘さんでした。客席の雰囲気を一気に掴む出身地・三河を卑下する勢いのあるまくらは見事でした。初めて行った浅草東洋館ではナイツの漫才を最前列で楽しみました。今一番好きな漫才コンビです。知らないうちに3人に増殖していたビックスモールンの体を張った芸は大喝采。田辺いちかさんの背筋をピンと伸ばしたメリハリのある講釈は品があり、大好きな五代目江戸江戸家猫八さんの動物モノマネは至芸です。
林家たい平さんは一席終え幕が下りる際、最前列で熱心に聞いていた小学生低学年の女の子に「きちんときいてくれてありがとうね」とその子に手を振って謝意を表していました。いい光景でした。
刺激を受けたのは「ヤングタウン」のステージ。落語家の錦笑亭満堂さんと毎日放送の福島暢啓アナウンサーが組んだ異色の漫才コンビでM-1グランプリにも挑戦しています。テンポがよく、芸達者な福島アナ。関西のアナウンサーには詳しくないので、彼が普段どんな仕事ぶりなのか知らずに、興味本位で見に行った大須演芸場でしたが同業者の「別の顔」の完成度に圧倒されるばかりでした。
某インターネットサイトで「この二人はソックリ」と断定され一方的に興味を抱いていた漫談家のユリオカ超特Qさんと大須演芸場で初対面。
頭部しか似ていませんでした。
○ボクシング
ボクシングでは5月、34年ぶりに行われた東京ドーム興行を観戦。34年前のマイク・タイソン王座陥落のシーンは5,000円の二階席で熱狂して見ていましたが、今回の井上尚弥選手の逆転KO勝利も22,000円の一階席三塁側で大いに興奮しました。
かつて担当していたボクシングジム所属の矢吹正道選手が10月に世界王者に返り咲いた試合は感動的でした。インターバルの際も座って休もうとせず、勝機を狙って慎重を期してジャブを打ち続け、機を見て敏に勝負を決めたクレバーな試合運びは見事でした。
○演劇
御園座で観た藤原竜也さん主演の「中村仲蔵」。立体的な舞台セットを巧みに使った演出と藤原さんが長い口上を見事に謳いあげる場面が光った渾身の芝居でした。
以前、映画「藁の楯」に私がテレビリポーター役で出演したときに、狂気的な演技をする藤原さんを間近で見て、その迫力に圧倒されたことを思い出しました。
○ライブ
YouTubeでよく見ていたおかっぱダンス集団「アバンギャルディ」のライブが5月に名古屋であると知り、慌ててチケットを取りました。
「一糸乱れぬ」パフォーマンス、期待以上のステージを2列目で楽しみました。
○映画
15本見ましたが面白かったのは「フォールガイ」。徹底したリベンジへの執着がリズムよく展開されるアクション映画です。「呪われた鉄の爪ファミリー」と言われたプロレスラーのフリッツ・フォン・エリックと息子たちを描いた「アイアンクロー」。エリック兄弟と呼ばれたケビンとケリーのタッグは実際に愛知県体育館で見たこともあり、父親・フリッツが理想とする方向性に翻弄された息子たちの物語を興味深く見ました。邦画で印象深かったのは「アイミタガイ」。偶然と友情と縁の描き方に感心しました。「海の沈黙」では美しいものへの個々人の評価について考えさせられました。
○講演
91歳の今も精力的に作品を発表し続けるミステリー作家の辻真先さんの講演を2月に聞きました。世界で称賛される日本のアニメ作品を黎明期から支えてきた人です。「鉄腕アトム」、「ジャングル大帝」、「サザエさん」、「巨人の星」、「タイガーマスク」から「一休さん」、「Dr.スランプアラレちゃん」、「名探偵コナン」まで数多くの作品の脚本を手掛けた方です。
毎週放送されるテレビアニメ第1号「鉄腕アトム」開始に当たって手塚治虫さんを補佐する形で「アニメ脚本家」人生が始まったとのことでした。私の父と旧制中学の同級生で親しくしているので、父を連れて聴きに行きました。75年も前に出会った友人と「久しぶり!」と笑顔で挨拶できる関係はいいものだなと感じた次第です。(写真右が辻さん)
○美術館・博物館
山形県酒田市の土門拳記念館。当地出身の写真家・土門拳の作品を展示する写真美術館です。広々とした公園の一角に建つ人工池と建物の調和が見事で、今年亡くなった建築家の谷口吉生さんの作品です。
今年は恵比寿の東京都写真美術館にも足を運びました。刈谷市美術館での「宇野亞喜良展」は日本初のイラストレーターとされる宇野さんの原点、商業広告のポスター作品が多数展示されていました。絵画ではない作品展が印象的だった1年でした。
○旅行
フリーになって仕事か遊びか、旅行はあやふやになりました。5月の山形は長年、佐藤家が購入してきた米「はえぬき」を作っている農家を訪ねての旅でした。
北海道も沖縄も行きましたが、人生で唯一の未踏県だった栃木県に行けたのは自分にとっては大きな出来事でした。行った先は日光市。華厳の滝、中禅寺湖、東照宮と修学旅行生のような定番コースでしたが、東武日光駅前で客寄せをしていた日光猿軍団のアクロバティックなデモ公演を目の当たりにして楽しく旅を始められました。
61歳10か月で47都道府県踏破。自己満足の極みですね。
皆さんはどんな思い出を脳裏に焼き付けた一年でしたか。2025年もよろしくお願いいたします。