2025年1月31日
先日、名古屋市内の社会福祉協議会主催の研修で講師を務める機会があった。対象は地元で学区ごとに活躍するボランティアの皆さん。地域住民のお世話をする人たちだ。
参加者50人。日頃、講演依頼などでお声がけいただく機会が多いがビジネスマン、大学生、中学生対象がほとんど。
今回は聴講される皆さんほとんどが私より年上の人生の先輩方だった。「私は62歳です」と自己紹介すると、年下は1人だけと判明。
地域のボランティアの皆さんは普段、どんなことをしているのか。体操などで体を動かす「高齢者の健康づくり」、高齢者が孤立しないように電話をかける「見守り支援」や認知症の方やその家族を支援する取り組み、地域で開催されるさまざまなイベントのお手伝いなどだ。
そんなボランティアの皆さんに向けて、昨夏、私に依頼された講演のテーマは「伝わる話し方」。地域では区役所や社会福祉協議会が住民向けにいろいろイベントを開催する。その際に参加者を増やすための「誘客話法」だ。
一週間後に迫った高齢者向けの催しのチラシをもとに講習した。最近のイベントはタイトルが凝っているものが多い。「いきいき○○」や「すこやか○○」や「わくわく○○」、「はつらつ○○」と命名されたものをよく目にする。 聞こえはいいが内容まではわからない。
企画内容のお知らせ文にも「アプリ」、「フレイル」、「eスポーツ」、「介護ロボット」と高齢者にはわかりにくい外来語が多数躍る。
私がポイントにしたのはこの部分をどこまで平易にして誘えるか。例えば「フレイル」なる言葉は私も5年ほど前に番組で新聞記事を紹介するときに初めて耳にした。
身体が「虚弱から要介護に向かう途中」。要するに衰えつつある段階だそうだ。果たして参加してほしい層に「フレイル対策を学べるから来てください?」と誘ってもピンとこない高齢者は多いだろう。「家でできる簡単な体操」と言ってみたら?という投げかけだ。
「eスポーツ」なんてボランティア世代も親しんでいない人の方が多いだろう。単語だけでは響かない。高齢者には魅力的には聞こえないのではないか。だったら、「お孫さんがやっているゲームを年寄りにも教えてくれるんだって」でいいのでは。ボランティアの皆さんも正直に「私もやったことないから一緒にどう?面白いらしいよ」と添えてみたら、という感じだ。
主催者側、誘う側は、内容を把握したら「かみ砕いて、生活実感に置き換えてみましょう」という趣旨でお話しした。
一番大事なことは、孤立しがちな高齢者がなるべく人のいるところに出かけて、みんなで楽しく時間を過ごすこと。そこで新しい知識を得て「きょうは楽しかった」になればそれでいいのでは。そんなかたちで1時間の講習を結んだ。
ボランティアの皆さんは地域社会における「共助」の担い手として貴重な存在だ。しかし、「高齢化社会」と「人口減少」で定年延長し長く職場にとどまる人が増えていることで、ボランティアのなり手は不足しているとのこと。
日頃、地域のために無償で頑張っている皆さんは実践の練習でも積極的で明るい。こういった方々のおかげで地域社会が成り立っている。